日本で生活していると、数年前と比較してキャッシュレス決済を利用できる店舗が増えている印象があります。実際の利用率はどの程度なのでしょうか。
本記事では、日本と世界におけるキャッシュレス決済利用率の違いをご紹介します。店舗の利用客にキャッシュレス決済を使用してもらうための方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
日本では国が主体となって、キャッシュレス決済比率を高めるためにさまざまな施策を実施しています。その効果はどの程度表れているのでしょうか。
まずは、日本におけるキャッシュレス決済の利用率とその推移をご紹介します。
経済産業省の調査によると、日本のキャッシュレス決済比率は、ここ7年で下記のように推移しています。
年 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
2019 |
2020 |
2021 |
キャッシュレス決済比率 |
18.20% |
20.00% |
21.30% |
24.10% |
26.80% |
29.70% |
32.50% |
2021年時点では、支払い全体における3分の1程度にキャッシュレス決済が使用されているという結果でした。以前と比較すると確実に普及しているものの、まだキャッシュレス決済が主流になっているとはいえない状況です。
続いては、クレジットカード・デビットカード・電子マネー・QRコードの4つのキャッシュレス決済手段に関して、それぞれの利用率とその推移を確認します。
年 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
2019 |
2020 |
2021 |
クレジットカード |
16.50% |
18.00% |
19.20% |
21.90% |
24.00% |
25.80% |
27.70% |
デビットカード |
0.14% |
0.30% |
0.37% |
0.44% |
0.56% |
0.75% |
0.92% |
電子マネー |
1.50% |
1.70% |
1.70% |
1.80% |
1.90% |
2.10% |
2.00% |
コード決済 |
0.05% |
0.31% |
1.10% |
1.80% |
こちらを確認すると、もっとも普及しているのがクレジットカードで、そのほかの決済方法に関しては数%の利用率にとどまっているのが現状です。
今後さらにキャッシュレス決済の利用率を高めるには、クレジットカードも含めて全体的な底上げが必要となるでしょう。
コロナ禍では、あらゆるシーンで非接触の需要が高まったため、店員とのやりとりを減らせるキャッシュレス決済の利用率アップも期待されていました。
しかし結果を見ると、増加の割合に例年と比べて大きな変化はなく、コロナ禍の影響は小さいといえそうです。
日本におけるキャッシュレス決済の利用率は、上記のように推移しています。
日本と海外では、キャッシュレス決済の利用率にどの程度違いがあるのでしょうか。こちらでは、世界の国々のキャッシュレス決済利用率とその特徴をお伝えします。
韓国や中国は参考値ではあるものの、2020年時点でそれぞれ93.6%・83.0%と高いキャッシュレス決済比率を誇ります。その理由はさまざま考えられますが、どちらの国も政府主導でキャッシュレス化を進めたことが大きく影響しています。
例えば、韓国ではアジア通貨危機からの打開策として、中国では決済の安全性を担保する方法として、2000年代以降にキャッシュレス決済の促進策が数多く実施されました。
オーストラリアのキャッシュレス決済比率は、2020年時点で67.7%と、当時の日本(29.7%)の2倍以上にあたる数字です。特にタッチ決済の使用率が高く、日常の買い物から移動、アミューズメントまでさまざまものをキャッシュレスで支払うことができます。
アメリカも日本よりキャッシュレス決済利用率の高い国の一つです。具体的には、全体の支払いにおける55.8%にキャッシュレスが使用されています。アメリカでは、クレジットカードと同様にデビットカードが広く普及しているのが特徴です。
広大な土地を有するため、定期的にATMでお金を引き出すことに不便を感じる方が多く、キャッシュレス化が進んだといわれています。
世界には、キャッシュレス決済利用率が日本より低い国もあります。その代表がドイツです。2020年時点で21.3%と、日本より8ポイント程度低い数字です。ドイツは日本と同様に現金への信用度が高く、キャッシュレス決済は普及途上といえます。
ただし、決済額が大きくなるにつれてデビットカードやクレジットカードの利用率が高くなることもわかっており、今後さらにキャッシュレス化が進むことが予想されています。
さまざまな施策やキャンペーンが行われているにも関わらず、なぜ日本のキャッシュレス決済利用率は諸外国ほど上がらないのでしょうか。ここではその理由を考えます。
日本は、世界でも特に高度な造幣技術を有する国として知られており、諸外国と比べて偽札の流通量が少ないという特徴があります。そのため、現金に対する信用度が高く、無理にキャッシュレス決済を利用する理由が少ないといわれています。
日本のキャッシュレス決済における手数料が海外と比べて高いのも、普及が進まない理由の一つです。
例えばクレジットカード決済の場合、日本では3〜5%が相場ですが、海外では1%前後の国が多い傾向にあります。決済手数料が高くなると加盟店の負担も大きくなるため、導入しづらいと感じる店舗も増えるでしょう。
社会のキャッシュレス化が進んだ結果、決済サービスが乱立し、企業がどの決済方法を導入するべきか判断しづらくなっているという側面もあります。
近年ではサービスの統合も進んでいますが、依然として数十以上のサービスがあり、明確な基準を設けないと選びきれないのが現状です。
日本は高齢者が多く、キャッシュレス決済のセキュリティ面に不安を感じている方も少なくありません。特に、高齢者をメインターゲットにした店舗では、キャッシュレス化を進めてもあまり利用してもらえない可能性があり、導入できないケースもあります。
通常の現金決済であれば売上金がすぐに手元に入りますが、キャッシュレス決済の場合は銀行口座に入金されるまでタイムラグがあります。そのため、資金繰りのシビアな店舗では、キャッシュフローの悪化を懸念して導入できない場合もあります。
キャッシュレス決済を導入したものの、あまり浸透していないという店舗も多いでしょう。そこで最後に、店舗におけるキャッシュレス決済利用率をアップさせるための方法をご紹介します。
キャッシュレス決済を多くの方に利用してもらうには、対応する決済手段の種類を増やすのが基本です。
例えばクレジットカード決済のみを導入している場合、クレジットカードを持っていない学生などは利用できません。また、QRコード決済やスマートフォン決済の場合、高齢者にはとっつきにくく感じられてしまいます。
年代や生活環境によって使用する決済手段は変わってくるため、できる限り多くの種類を導入しましょう。
キャッシュレス決済の利用者を増やすには、新たな会計システムを導入するのも良い方法です。
例えば、モバイルオーダーは事前にクレジットカードや各種ペイ決済と連携して利用する方が多く、自然とキャッシュレス決済の利用率を高められます。
現金の管理に煩わしさを感じている場合は、店舗を完全にキャッシュレス化する方法もあります。現金決済の取り扱いを中止することで、キャッシュレス決済の利用率を100%に引き上げられます。
ただし、突然完全キャッシュレス化すると利用客に戸惑いを与え、売上に影響する可能性があるため、周知を徹底するなど慎重に進めることが重要です。
店舗のキャッシュレス決済利用率を高めるには、上記のような方法がおすすめです。
日本のキャッシュレス決済利用率は、海外と比べるとまだそれほど高くありません。しかし、政府が主体となってさまざまな施策が実施されており、今後さらに普及していくことが予想されます。
キャッシュレス化の流れに乗り遅れないよう、この機会に新たな決済方法を導入してみてはいかがでしょうか。
参考記事:「キャッシュレス決済の導入メリットとデメリット、設置の流れを解説」
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