新型コロナウイルス感染症の流行以降、非接触会計へのニーズが高まり、キャッシュレス決済が飛躍的に普及しました。最近では多くの小売店や飲食店でキャッシュレス決済を利用できる店舗が増えています。
しかしメリットだけでなくデメリットについても理解し、準備したうえでキャッシュレス決済を導入することが大切です。リスクや手間を最小限に抑えることにつながります。
そこで、この記事では、キャッシュレス決済を導入するメリット・デメリットを店舗・消費者双方の視点から解説します。
キャッシュレス決済とは、現金以外の方法で商品・サービスの代金を支払う決済方法の総称です。
最近ではキャッシュレス決済を導入しているかどうかでお店を選ぶ消費者も増えているため、急速に普及が進んでいます。
キャッシュレス決済の種類は、大きくクレジットカードや電子マネー、QRコード決済の3つの種類に分けられます。
最も代表的なキャッシュレス決済方法です。クレジットカードは後払いタイプの支払い方法で、連携している銀行口座から月1回引き落とされます。
一方、デビットカードは支払いと同時に銀行口座から代金が引き落とされます。
電子マネーとは、専用機器にスマートフォンやICカードなどをかざすことで情報を読み取り、前払いするタイプの支払い方法です。
具体例にはSuicaやPASMOなどの「交通系」と、WAONやnanacoなどの「流通系」が挙げられます。
QRコード決済とは、決済アプリをスマートフォンにインストールしたのち、QRコードやバーコードで情報を読み取って代金を支払う方法です。
前払いの種類や後払いの種類があります。代表的なものに、PayPayや楽天ペイ、d払いなどが挙げられます。
ここではキャッシュレス決済を導入するメリットを店舗側の視点から解説します。
会計業務において、レジスタッフに最も負担がかかる決済方法は現金です。金銭のやり取りはミスが許されないため、精神的な負担になりやすい業務です。
そのため、キャッシュレス決済の導入により現金で会計・決済する機会が減ることは、レジスタッフにかかる負担の低減につながります。
キャッシュレス決済は、専用機器で顧客情報を読み取るだけで完結します。そのため、現金での支払いよりも大幅に業務を効率化できるでしょう。
また、支払方法をキャッシュレス決済のみにすると、取引内容がすべて記録されるため、毎日のレジ締め業務や月末の売上の集計・管理も大幅に削減できます。
ここでは、キャッシュレス決済を導入する消費者目線でのメリットを解説します。
消費者は財布を持ち歩く必要がなくなるとともに、会計の度にお札や小銭を数える必要がなくなります。こうした一つひとつの小さな利便性向上が、消費者の手間やストレスの低減につながり、満足度向上につながるでしょう。
キャッシュレス決済は、現金での支払いよりも会計にかかる時間を短縮できます。レジ待ちの時間が長ければ長いほど顧客満足度は低下しやすく、ストレスからトラブルが発生する可能性も高まります。
そのため、会計にかかる待ち時間の短縮は、消費者だけでなく店舗視点で考えても魅力的なメリットです。
クレジットカードやQRコード決済を中心に、利用することでポイントが貯まるサービスが多くあります。ポイントに魅力を感じている消費者は多く、キャッシュレス決済を利用する動機の一つになっています。
キャッシュレス決済を導入するデメリットを店舗視点で解説します。
キャッシュレス決済を導入すると、決済端末やシステムなどの導入費用の他に、決済手数料がかかります。
手数料の平均的な相場は3~4%前後です。少なく感じるかもしれませんが、中小企業や個人店舗にとっては大きな出費となるでしょう。
停電や故障、不具合などが発生すると、一般的にキャッシュレス決済の機器が利用できなくなります。
会計ができないと店舗運営に大きな損害を被るだけでなく、長引けば消費者の信頼を損なう可能性もあります。
キャッシュレス決済は、会計・決済したのち入金までに半月~1か月程度の時間がかかることが一般的です。そのため、売上が入金されるタイミングをきちんと管理しておかないと、店舗運営が厳しくなることもあります。
ここでは、キャッシュレス決済を導入するデメリットを消費者視点で解説します。
現在の日本では、多種多様なキャッシュレス決済が普及しています。そのため、どのお店においても同じ決済方法が利用できるとは限らず、不便な思いをしている消費者もいるでしょう。
複数店舗を経営しているお店の場合には、基本的に使用できるキャッシュレス決済の種類は統一しておくことがおすすめです。「A店ではQRコード決済が利用できたのに、B店では利用できない」となると、顧客の不満につながってしまう可能性があります。
キャッシュレス決済の不正利用や詐欺の手口は、常に進化しています。
クレジットカードを専用機器に読み取らせることで、情報を盗む手口や店舗で表示されているQRコードの上に別のQRコードを物理的に貼り付ける手口など、さまざまな事例が確認されています。
そのため、「キャッシュレス決済は現金を使わないから盗まれる心配がない」と過信しないことがおすすめです。
店舗側のデメリットにも記載しましたが、消費者側にとっても停電により会計ができなくなってしまうのは、とても不便です。
また災害による機器の損傷が発生した場合には、長期にわたりキャッシュレス決済が利用できない可能性もあります。そのため、ある程度現金も準備しておくと安心できるでしょう。
最後に、キャッシュレス決済のデメリットを解決するための対策を解説します。
金銭的な余裕がなく、キャッシュレス決済の導入を迷っている場合には、補助金・助成金を利用しましょう。
補助金・助成金とは、ビジネスを展開する事業者を支援するために、国や地方自治体が主導している返済不要なお金です。多くの企業が補助金・助成金を利用してキャッシュレス決済を導入しています。
以下に、キャッシュレス決済に利用できる補助金・助成金をまとめていますので、参考にしてください。
店舗・消費者のどちらのデメリットにも挙げた「緊急時にキャッシュレス決済を利用できない」点については、必ず準備しておくことが大切です。
マニュアルを整備してスタッフに周知するとともに、現金での支払いが可能なようにキャッシュドロアや電卓などの機器を店舗に用意しておくと良いでしょう。
緊急時だけでなく故障や不具合が発生した場合にも、キャッシュレス決済を利用できなくなります。その際、スピーディーに対応してもらえるかどうかは非常に重要です。
そのため提供メーカーと契約する前に、必ずサポート体制については確認しましょう。多くのメーカーが無償サポートと有償サポートを用意しているため、それぞれのサポートの範囲も明らかにしておくことがおすすめです。
この記事では、キャッシュレス決済を導入するメリット・デメリットを店舗・消費者双方の視点から解説しました。
キャッシュレス決済を導入することで、業務効率化や顧客の利便性向上などさまざまなメリットを享受できます。その一方でデメリットもありますが、事前の準備をしっかり行うことで、最小限に抑えられるでしょう。
上記に一つでも当てはまる場合には、下記のページをご覧ください。