本記事の読者の皆さんは初めてお店を開店する、またはレジの入れ替えを検討しているなどでレジの種類や特徴について調べているという方が多いのではないでしょうか。
本投稿では、一般的にレジにはどんな種類があり、それぞれにどんな特徴がありどんな業種に向いているのかなど、レジの歴史についても触れながら見ていきたいと思います。
一口ににレジと言っても、よく見かける置き型のレジスターからiPadのような薄型タブレットを活用したPOSレジ、コンビニやスーパーマーケットで見かけるPOSシステムなど多種多様なレジが利用されています。昨今ではスタッフの操作が不要なセルフレジも登場してきています。 それぞれの事業者によって最適なレジの種類は異なりますが、簡易的過ぎても良くないですし、逆に必要以上に高機能でも導入費用が高くなってしまします・・・。
では詳しくみていきましょう
日本では江戸時代、呉服商などを中心に畳の上で販売する座売りと呼ばれるスタイルが主流で、勘定場や帳場と呼ばれる場所でソロバンや大福帳(だいふくちょう)とよばれるいわゆる元帳を用いて売れたものを管理していました。
現在ではPoint of Salesの略称であるPOSと呼ばれる機能を搭載した高性能レジシステムへと進化し、販売業務において必要不可欠な存在となりました。
そんなレジについて、誕生や発展の歴史を詳しく見てみましょう。
1878年(明治11年)、当時オハイオ州で、カフェを経営していたジェームス・リッティというアメリカ人が世界で初めてレジスター(金銭登録機)を発明しました。 当時、彼の店はとても繁盛していたにも関わらずなぜか利益が少なかったので調べてみたところ、従業員が売上をごまかしていたことが見つかりました。
従業員の不正を防ぐことが開発のきっかけになり、正確性を大事にした世界初のレジスターが誕生しました。 見た目は置き時計のようで、時計の文字盤の長針と短針で「ドル」と「セント」の金額を表示し、文字盤の下のタイプライター状の2列に並んだキーで入金額が文字盤に表示されるというダイヤル式レジスターが生まれたのです。
その翌年には、売上を記録するロール紙を内蔵し金額ボタンを押すとロール紙に穴が開き、穴の数によってその日の売上を集計できるぺーパーロール式レジスターが発明されます。 こうして今では当たり前のとなっている「正確な金額表示」と「売上の記録」という重要な機能は約140年前に実現したのです。
アメリカから遅れること約20年、1897年(明治30年)に横浜の貿易商である牛島商会が万国博覧会で見つけた、NCR(ナショナルキャッシュレジスタ)社製のレジに目を付け輸入したのが日本におけるレジの歴史の始まりです。
当時のレジは入出金記録をとる金銭管理機能を中心とし、ベテラン営業マンの月給が40円前後であった時代にレジは1台、月給の5~50倍もしたといわれています。
1910年(明治43年)頃からは百貨店への導入が進み、加算機能や取引明細とその合計の表示、レシート発行機能などが追加されていきました。この頃から日本の商業界も、座売りスタイルから商品陳列販売のスタイルへと変化を遂げていきました。
そして、戦後の経済成長や流通革命によって百貨店やスーパーマーケットが次々に登場し繁栄の時代を迎えます。日本でもNCRや東京電気(現:東芝テック)などのレジメーカーによる機械式レジスター(メカレジ)の開発が進み、市場は大きく拡大していきました。
そうした競合メーカーによる進化を経て、キャッシュレジスターは機械式から電動式(ECR)へと進化し、その一方でアメリカを中心にPOS(Point of Sales)システムと呼ばれるものが急成長を遂げていきます。
1960年(昭和35年)に5万台程度だったレジの生産台数も1980年(昭和55年)には100万台を突破し、1983年(昭和58年)にはセブンイレブンが全店舗にPOSシステムを導入したことをきっかけに話題となり、単品単位で販売記録を集計することができるPOSシステムへの注目が集まります。
後に日本国内でもPOSシステムの時代が到来、日本社会へ広く普及・浸透していくことになります。
国内流通業は「情報化」という大きな変化を遂げていきましたが、依然としてPOSシステムは非常に高価なシステムであるために中・小規模店舗では導入できないケースも数多く見受けられました。
そんな中、2007年(平成19年)にAppleが発売したスマートフォン、iPhoneや2010年(平成22年)に発売したタブレット、iPadが日本国内で爆発的に普及したことをきっかけに従来のPOSシステムより圧倒的に低コストで導入できるタブレット型のPOSレジアプリが登場し、中・小規模店舗においても手軽にPOSレジを導入できるようになりました。
タブレットPOSの多くは端末にソフトウェア(アプリ)をインストールすることで売上情報や在庫情報をリアルタイムで確認できる「クラウド型POSシステム」という仕組みを採用しており、クラウドコンピューティングと呼ばれる仕組みの普及時期も重なったことからそのスタイルは現在も日本のPOS市場で急成長を続けています。
さて、今日のレジに至るまでの変遷をお話ししてきましたが、本題のレジの種類について見ていきましょう! まず多くの場合「レジ」とはキャッシュレジスター(cash register)を指す略語であり、商品の販売額を計算して記録する機器のことを言います。
多くのレジは本体と一緒に売上金を保管するキャッシュドロアー(現金を入れておく引き出し部分)が一体となっており、レジを打ち込んだ後、「チーン」という音が鳴りドロアーが開くイメージがあるのではないでしょうか。
ここ最近では大型店、中・小規模店にかかわらずPOSレジが定着してきたので、「レジ」=「POSレジ」と思われる方も多いのではないかと思います。
POS(Point of Sales=販売時点売上管理)とは売上実績を単品単位で管理・集計するシステムのことを指します。 レジ自体はお会計をスムーズに行うための装置で、POSシステムは「いつ」「何が」「何個」「いくらで」売れたのかを定量的に把握することができるシステムです。 「POSレジ」とは元々は別個のレジスターとPOSシステムが繋がったものを指していたので、すべてのレジが必ずしもPOSレジではないということは覚えておくとよいかと思います。 ここからは、レジの種類を大まかに分けてそれぞれの特徴をお伝えしていきます。
レジスターは100年以上の歴史があり、主な機能として「正確な金額表示」と「売上の記録」を行うための装置になります。 レジスターは大きく分けて「ストロークキータイプ」と「フラットキータイプ」の2種類があります。
ストロークキータイプは物販店舗での利用が多く、主に部門ボタンごとに売上を上げ、「金額→部門ボタン」の流れで売上を打ち込みます。その都度金額を打ち登録するタイプを探している場合は物販店舗向けのレジから選ぶ事になります。
レシートの出る電卓と呼んだほうが良い簡易的なものから高機能なものまで、種類と価格帯は多岐にわたります。上位機種になると登録可能な部門数が多くバーコードスキャナーにも対応し、膨大な商品点数の会計と売上管理に対応できます。 一方フラットキータイプのレジスターは飲食店舗でよく利用され、ワンタッチキーというボタンに商品(メニュー)を登録しておき、会計時に押すだけで商品名と金額が自動で印字され売上を立てる事ができます。
レジスターにバーコードスキャナーを接続して使うことも可能です。上位機種になるほど登録可能な商品点数が増える点はストロークキータイプと一緒です。
POSレジはレジスターでできる機能に加えて、蓄積したデータを元に仕入れやマーケティング、販売管理に活用することができます。 POSレジでお会計をした時点で、レジからネットワークを経由してパソコンやサーバーに売れた商品のデータやその時点の在庫情報が送信され、販売情報を部門や商品、時間帯といったカテゴリに分けて確認や分析をすることができます。
ただしPOSレジにはデータの送信にネットワークが必須となり、お店や会社専用のネットワークを構築する、もしくはインターネット回線を活用するなど対応が必要になります。 近年ではタブレット型POSレジが国内で普及し、インターネットを利用するクラウド型のレジサービスも一般的なものとなっています。
複数店舗のデータ統合などを瞬時に行うことができ、各店舗の売上・在庫管理を一元化することもできます。またバーコードスキャナーで商品のバーコードを読み込んで登録することが基本になるため、手入力が中心だった従来機に比べて打ち間違いや不正を未然に防ぐことができます。
また本来、レジは現金の管理や会計処理専用の装置であるため各商品の売上や在庫数の把握は別途計算をする必要がありましたが、POSレジであればそうした集計作業も省略することができます。
POSの中でも、主にコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで使用されているパソコンをベースにしたPOSです。 POSを総称してPOSシステムと呼ぶ場合もありますが、厳密には「レジとして特定の機能を実現するためのコンピュータシステム」のことを指し、汎用的なシステムとは異なり機能や性能が極めて限定されています。
POSレジ専用のハードウェアの中に専用ソフトウェアが組み込まれて一体として販売される、もしくは特定の小売業者専用に個別開発して販売されます。 後者の場合、ソフトとハード別々の選択が許されず、機能追加・仕様変更や税率変更などの法改正に対応する為にはその都度カスタマイズが必要となり大きな費用が発生します。 そのため、中・小規模店ではコストが見合わない場合が多く、大規模チェーン店での導入が多くなっているのが実情です。
日本国内のPOSシステムではWindowsを利用したものが多く見られます。 ちなみにグローバルで見ると海外市場ではOSにアンドロイドを使用しているPOSシステムが大部分を占めています。 私たち株式会社Uniaimでも導入される事業者に合わせた柔軟なカスタマイズが可能な点からAndroid OSでレジ開発を行っています。
POSレジの中でも、タブレット端末をレジ用の機器として使用する形態を総称してタブレットPOSと呼びます。 2010年(平成22年)にApple社が発売したiPadが国内で爆発的に普及し、これに乗じる形でタブレットPOSが誕生、国内では現在も急成長を続けています。 iPadをはじめとするタブレット端末にレジアプリをインストールし、画面をタッチしてレジ操作を行います。
タブレットにレシートプリンターやキャッシュドロアー、バーコードスキャナーを連動させることでPOSレジとして機能し、レジ周りもコンパクトにまとめることができます。
タブレットPOSの多くはクラウドサービスとして提供されいるためインターネット環境が必須となります。タブレットにSimカードを入れる、もしくはWifiに接続して通信を行うため電波環境の良い場所での稼働が必須条件になります。 またレシートプリンターやバーコードスキャナーはBluetoothで接続するため、電波干渉が発生しやすい点もあらかじめ知っておく必要があります。
人口減少に伴う店舗運営の省人化やレジでの会計時間短縮を目的に、セルフレジの開発が進み徐々に実店舗への導入も見られるようになってきました。
RFIDタグを活用し商品を自動認識できるセルフレジ、商品のバーコードを自分でスキャナにかざし登録・会計するセルフレジ、商品登録はスタッフが行い、支払いのみ専用端末で行うセミセルフスタイルなどが登場してきていますが、運用方法や盗難防止対策など様々な課題があり、いまも実証実験の上でより良い仕組みが模索されています。
では実際にお店で使用するレジを選ぶときにはどのように判断したらよいのでしょうか。 レジ選びに入る前にまずは自分なりに下記の3点をまとめてみましょう
この3つについて、順番に考慮して検討を進めていくのが良いでしょう。
まずはお店で必ずないと困る機能・内容について洗い出しを行います。
これらは一例になりますが、まずはじめに最低限必要な機能つまりあなたのお店にとって絶対に必要な機能をピックアップしましょう! 重要なポイントは「絶対に必要な機能」と「あったら便利」という機能としっかり切り分けて考える事です。
「絶対に必要な機能」と「あったら便利」という機能は混同してしまいがちですが、レジを導入した後、「やっぱりこの機能は必要なかった」という内容をどこまで減らせるかによって初期費用や毎月の維持費が大きく変わってきます。
レジを導入してから使いこなせるまでには時間がかかりますし、使っていく中で活用法を見直していく場面なんかも出てきます。「あったら便利!」というプラスアルファの機能は費用を抑えるという面では可能な限り検討を後回しにする方が得策でしょう。
最低限必要な機能が絞れたら、それに対する機器やシステムの費用を比較検討しましょう。 レジスターであればの初期購入費用のみで済む場合もあります。 逆にタブレットPOSを含むPOSレジであれば、データをサーバーに保存して活用する仕組み上、初期費用と月額費用の両方が発生します。 利用する機能によっては月額費用も変わってきます。
POSシステムの場合には、初期費用とランニングコストとして保守費用が発生します。またそれ以外に仕様変更、カスタマイズなどの際にも一定の費用が発生します。
必要機能や費用を比較することはもちろんですが、サポートや保守に関しても内容と費用をしっかりと把握しておきましょう。ハードウェアの保守はいつまで付いているのか、トラブル対応は何時から何時まで受付けているのか、サポートの都度費用が生じるのかどうかなどを事前に確かめておくことが大切です。
最後に、プラスアルファでやりたいことに関して今後そのレジで実現できそうかどうかを確認していきます。絶対に必要な機能はすでに押さえているはずなので、仮にやりたいことが多少実現できなかったとしてもある程度は運用方法の工夫や慣れでカバーできる場合もあります。
やりたいことが増えてくると次第に日々の運用や管理が煩雑になってくるので、プラスアルファでやる内容を増やす場合でもできる限りシンプルにするほうがスタッフの操作ミスを減らす上で有益です。
以上、レジの選び方について紹介してきました。「昔ながらのレジスターよりも、最新式のPOSレジのほうが絶対いい!」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが必ずしもそうではなく、レジスターであっても高性能で割安な機種も存在します。
必要な機能が少ない場合にはレジスターを購入したほうがコストパフォーマンスに優れるケースも多々ありますので、レジの種類を一通り把握した上で選択肢を広く持つ方が良いでしょう。 いずれにせよ、比較検討のなかで最終判断するにあたっては実物を見て操作感などを確認し実際に使用するイメージを持っておくことが大切です。 後々探していたものと違ったという状況にならないよう、ショールームに行ってみたり商談の場を設けるなどしてから決めましょう。
最後にレジの将来について予想してみたいと思います。レジはこれまで機械式から電子式、そしてPOSシステムを搭載したPOSレジへと進化し、タブレットPOSの普及によっていつどこからでも容易に売上データを把握できるようになりました。
今日ではPOSレジの進化形態であるセルフレジも登場しています。しかしながら、お店に入ってレジでお会計を済ませるには多少なりとも待ち時間というものが存在します。 この時間は文字通り「待ち時間」であり、お客様にとってもお店側にとっても何かを生み出すことはありません。 こうして「商品代金の支払いが正確にできるのであれば、そもそもレジは不要なのではないか」という発想が生まれ、実際に様々な企業や研究機関が実証実験を行いながらレジを使わない店舗運営のカタチや快適、且つ安心な購買体験を模索しています。
2016年に話題となったAmazon Go もそのひとつで、お店から完全にレジが無くなっています。入店時にスマートフォンで個人認証を行い、商品を手に取り持ち帰るだけで支払いまで完結します。 事前に登録されたクレジットカードで決済され、店内に張り巡らされたセンサーによりPOSシステムに販売情報が記録されます。 さらには日々蓄積される膨大な販売情報を、個人情報や統計データ、その他の情報と結びつけることで今まで見えなかった新しい情報が発見され、例えば実店舗に居ながらそれぞれの利用者に最適化されたおすすめ商品が自動でピックアップされるといったことも可能になります。
人工知能(AI)を活用することで、「何が売れた」という過去の分析から「何が売れる」という未来の予測も可能になっていきます。 在庫情報に基づいて自動で発注し、的確な販売計画を立てて未来も予測する、そんなAIが店長に代わってお店を管理する時代が、近くまで来ているかもしれません。
今まではレジに並ぶ時間やお会計のときにやり取りする時間が当たり前だったかもしれませんが、お店に入って買いたい商品を手に取り、そのままお店を出たらお会計が自動で済んでいる、そんな未来が徐々に近づいてきています。
私たち株式会社ユニエイムでもPOSレジ開発、販売をする一方で、利用者にとって快適で便利かつ安心なお店の売上アップに貢献できるようなシステムの開発に取り組んでいます。 日本国内においては昔から決済手段として現金がよく使われており、レジそのものが姿を消すところまで進んでいくかどうかはわかりませんが、レジのないお店に遭遇するのもそう遠くない未来かもしれませんね。
本投稿ではレジの種類や歴史をまとめてみました。昨今トレンドとなっているタブレットを活用したレジやセルフレジなどに至るまでにはさまざまなレジの種類がありました。
しかしレジが登場した当初から比べると幅広いニーズに対応できる商品数が流通しています。その分、特徴や機能、独自性も細分化されているため自分の運用スタイルに合うレジを探すことが難しい時代でもあります。
レジの選び方についても記載しておりますが、大切なのはご商売の信頼できるパートナーとして活躍してくれるレジに出会うことです。本投稿が最良のレジに出会うお手伝いに繋がれば幸いです。